ヘルシンキから飛行機で一時間半。
ラップランドと呼ばれる北極圏イヴァロについた。
そこから、あたかも人を乗せてない過程で自殺行為を計るスピードバスでサーリセルカという場所まで行く。
もうここは今までに体験したことのない世界。
マイナス20度の世界である。
よもや息を吸ったら鼻毛が凍るなんておとぎ話の世界(マイナス世界に住んでる人ごめんなさい。)に自分が来ているなんて何とも摩訶不思議。
だから世界は面白い!なんてことには簡単にいかないのである。
ただ寒い。なによりも寒い。
「過度」に弱い僕。
辛すぎる。酸っぱすぎる。甘すぎる。つらすぎる。暑すぎる。熱すぎる。冷たすぎる。そしてもちろん寒すぎる。
寒すぎると食欲がデブ並になるという持病もちやから、もちろん発病。
いや単にオーロラを観測する以外寒すぎて何もすることがないから食べるしかないだけか。
そうオーロラを見に来た。
自然が織り成す光のカーテン。
気に入って丁度いいサイズなら購入して帰ろう!
いつか建てる予定の豪邸の窓に合うのはオーロラぐらいなもんやろう。
え?ステッカーで充分やって?
ほな、アホな。
それにしても凄い世界や。
朝は10時ごろから明るくなり、昼の3時には日が暮れる。
自分の体内時計がぶっ壊れていることに気が付くまでには時間がかかる。
もう晩飯やなぁと、時計を見ると夕方4時。体内時計はゆうに8時。なんやこれなのである。
それにしても初日は雪が吹雪いてるなか宿の受付が分からず死ぬ思いをしたが、明くる朝この白銀の世界が雲に遮られることなく照らす太陽によって、空も草木も道に積もった雪でさへもキラキラと輝くその様は感動せずにはいられなかった。
美しい。
と素直に心が思った。
そして雲がないということ、これはオーロラを見る最低条件なのである。
物凄いオーロラが出てたって雲で隠れて見えなきゃ終わり。
僕らが泊まる3泊のうち、晴れの予報は今日のみ。
頼むから!!と、てるてる雪だるまなんてのも作ってみようと試みる。
が、大事な手を凍傷にして使い物にならなくなっては仕様がないのでやめにして、祈るだけにした。
今晩は長い夜になりそうだ。
そのためにまず食料を買い込む。フィンランドはなんてったってサーモンが有名。
ここ北欧、安くはない。がこれ食べなきゃあかんやろ!と半身を購入。
サーリセルカに泊まってた間サーモンが尽きる事はなかった。サーモン尽くし。
これがまた脂がのってて身が柔らかく絶品。単純に焼いて醤油垂らして、、、なんてもう。笑
とまぁそんな感じで腹も満たしたので、あのマイナスの世界へ行こうではないか。
外に居続けるのは最長30分しかもたんが、果たして今夜オーロラを見ることができるのだろうか!???
ご心配なく。
万全を期して、オーロラ観測ツアーに金払って連れてってもらうことにしているのであーる。
たまたまサーリセルカで出会った大阪出身OL3人組の子達と一緒に5人で180€のチャーター車を雇ってある。
運がよけりゃ街中でも全然見えるらしいが、この日は晴れていてもオーロラの強さみたいなんが10段階でたったの2!
そんな日は晴れていても見れないこともザラらしい。
今日しか晴れないのに、今日見れなかったらただどんどん太っていく一方やんけ!!
と言うのは冗談にしといて、オーロラを見に来て金をケチる理由はない。
なんならプロに任せれば想像以上に素晴らしいオーロラが見れるかもしれないわけで。
OLの彼女達(中学の同級生)も、会社の少ない冬休みを別々の会社なのに合わせて来ているから今夜しかチャンスが残されてないんだと。
なんとしても見たい!!という気持ちがどんどん膨れ上がる。
が、最初連れて行かれた360度兆候の丘の上、遠くの町の灯りの上にうっすらと雲みたいなものが見えるだけ。
プロの方、あれがオーロラだという。
ちっさいけどね。と付け加えて。
おいこら!ジャパニーズなめんな!どう見ても雲か霧やないかい!!だれがあんなんオーロラ言われて喜ぶんじゃ!
と一応写真に収めてみると、、、
おぉ!!緑!!!笑
確かにオーロラらしい。
オーロラは肉眼ではうっすらとした雲みたいなやつと聞いていたが、、、うーむ、これが人生初のオーロラとするにはあまりにもショボい。
オーロラプロ!別の場所連れてけ!!
とプロはぐんぐん北へ上がる。
時々路肩に停めて電気も消してオーロラを探すもまだ出てないらしい。
とおもむろに携帯のオーロラレーダーを見せてきた。
なんでもそこにはオーロラの強さがその日の時間でわかるらしい。
今夜は0時頃がピークなんだと。
現在23時前。あと一時間か。
次のスポットに着いた。
ない。
次のスポットも、、、
ない。
予定の0時を過ぎた。
おい、プロどうなんや?どこ行ったらオーロラ見れるんや??あんな最初のちっこいので満足せい言うんか?こんなクリアに晴れた日にオーロラ見つけられへんからそのプロの称号剥奪すんぞ!
とまた、おもむろにオーロラレーダーを見せてくる。
すまない。さっきみせたレーダーは昨日のものだった。今夜のレーダーはこれだ。
と見せてきたレーダーの波は人が死ぬ5秒前みたいな波長のやつ。
なんなら、ピークだと言ってた0時のところは、、、
線すらねぇ!!!
死んでピーーー!!!ってなったあと普通に電源消された状態。
死を通り越して勝手に天に昇って行きはったみたいですオーロラはん。
いや全然笑われへん。
もう神に祈るしかない。多分今んとこ生涯で初めて真剣に神に頼んだと思う。
一生のお願いですから!いい子にしますから!どうかオーロラを見せてください!と。
その想いの中どうやら最後の場所に着いたみたい。
イナリ湖というサーリセルカから一時間半ほど車を走らせた場所だ。
行った現在は湖が凍っていてそれはそれで歩いたりできて楽しい場所らしいが、まだ凍ってない時にここでオーロラを見れたら湖にもオーロラが反射してそれはもう想像を絶する世界だそうだ。
だがどうだ!そんな場所でも僕たちが希望を持って見たオーロラはさっき見たやつみたいなうっすらとしたやつが近いだけだ。
でもツアーは3時間。ここで時間いっぱいまで粘るしかない。
足のつま先はもうとっくに感覚を失っているが、みんなの覚悟はできてる。
その覚悟ではなく、やっぱりさっきの僕の一生のお願いですから!のおかげだろう。
白くうっすらと見えるだけのオーロラが気がつけば、天を跨いでいた。
まるで虹のように、天にかかる橋のように、星の間を流れる天の川のように、目に見える空一面にオーロラは姿を現した。
目でわかるほど、はっきりとした緑に輝きながら。時には目ではなかなか見ることのできない赤色のオーロラさへも。
この瞬間はなんとも言えない。
感動したと言えばそれまでだろう。
見れて良かったという安心感もあっただろう。
けど正直その瞬間は何を思っていたのか覚えていない。
ただただ、子供の頃のようにはしゃいでいたことだけ覚えてる。
けど、はしゃいでしまった為に大失態をしてしまうことになるんやけど、この話はまたいつかの機会にでも。
オーロラは今の僕に手に余る代物ではなかった。
ましてや気に入ったら購入して家のカーテンになどとつまらないことを言ってオーロラと読者を侮辱したことを謝ろう。
プレゼントに丁度ええよ。
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