けどまぁ何度でも言っておこうか。
この旅で素敵な出会いがあり、その出会いにより僕が鋏を握ることになるなら、その時しか味わうことの出来ない唯一の時間を過ごしたい。
お互いにとって。
このバルセロナで髪を切ってとお願いされたのならもうここ以外に場所はないに決まってる。
そう、正解。
サグラダファミリア。
今日はその前で、やす子ちゃんの髪を切る。
彼女と初めて出会ったのは4ヶ月も遡ることラオスのルアンパバーン。
その時一緒に旅をしていたヒロさん(ベトナムバイク縦断の相方)と泊まっていた激安宿に突如完璧メークで日傘をさしながら現れた魅惑の女だった。
それもそのはずで、
メイクもしませーん!下着も2日同じの履いてまーす!なんて強者女子バックパッカーでももうちょいイイ所選ぶんじゃないかなって宿。
ロケーションや宿主は最高やねんけど。
それがバリバリのフルメイクやねんから、ヒロさんと2人、あんな子とどう絡んだらいいんやろ??なんて会議を開いたりもしたけど、蓋を開けりゃただのアホ。
いや、そりゃかなり語弊があるし人権侵害や!なんて訴えられても困るので言い直しとこ!
ノリの良すぎるTHE関西女!!
んー、簡単に言えば関西のオバちゃん。
歳は全然年下やけど。笑
その時はトマティーナの宿に誘っただけで髪は切ってない。
んで、トマティーナで再会したというわけ。
バレンシアでトマティーナ前にみんなの髪を切ったけど、この時も髪を切ってない。
本当はラオスでトゥーイというラオス人の髪を切っているのを見て、僕に髪を切って欲しいと思ってくれたみたい。
けど、彼氏がロングが好きだしという何とも乙女らしい理由で断念したんだと。
けど、バレンシアでも中々頼めなかったみたいで今に至る。
テルさん!バルセロナで髪切ってもらえませんか??お任せで!
今だからわかる。
やっとの思いで出たんだろうその言葉。
お任せで!というオーダーに対して僕は数秒考えて応える。
もう決めた!
お互いに心が通いあった時、その人が今一番輝けるスタイルが自然とイメージできる。
小手先の技術での似合わせではなく。
僕の中で、髪は人、そのものだから。
その彼女がサグラダファミリアの前で髪を切っている時、そこに至るまでの想いを打ち明けてくれた。
ラオスで僕に出逢い、人との出逢いを凄く大切に思ってくれたみたい。
人の出逢いも一瞬の奇跡。
これからももっと素敵な出逢いが待ってるかもしれない。
もしかしたら今以上の出逢いはないかもしれない。
その想いが彼女を結婚へと走らせたらしい。
結果逆プロポーズ!!笑
凄いな。
「かもしれない」と先にある幸せに期待するのも一向にいい事だと思う。
でもそれに囚われすぎたり他の力に頼りすぎたりして、今自分で手繰り寄せられる幸せや今目の前に存在してる幸せを見失う、
これが1番の不幸せだと思う。
今の人を大切だと思い、今以上の人はこの先いないと思えた彼女を改めて凄いと思う。
この先もずっと幸せであって欲しいと、心から願う。
その願いを込めて、髪に鋏を入れる。
重たいワンレングスの髪から、曲線を浮かび上がらせる。
女性のラインへと。
そのライン一つで美しさや可愛らしさは変わる。
たとへ長さは変わらなくても。
今の彼女にはこれが似合う。
お願いされた時に感じた女らしさを今更、あぁだからかと知る。
素敵な時間をありがとう。
そして、素敵な出逢いをありがとう。
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