その場所には僕ら6人の他にも、途中でバスを降りてくる人が何人かいた。
タルタガルからブエノスアイレスやメンドーサに行く途中にあるT字路で、フォルモッサ側の東にに行く場合はそこで降ろされるのが普通みたいだ。
その中に、タルタガルのバスターミナルでみた少年少女たちのグループがいた。
その子達はタルタガルのバスターミナルで手作りのミサンガを買ってくれと言ってきたので覚えていた。
勿論、いらないと断った。ぶっきらぼうに。
まぁタルタガルに住んでこうやって観光客にミサンガ売っておこずかい稼ぎしている、よくいる子達なんだろうと思っていた。
そしたらその子達が、同じT字路で降りてくるではないか。
しかも少し大きめの荷物も持っている。
皆で何処かへ向かっているらしい。
ミサンガ売りながら旅してんのかなぁとも思った。
そしたら話しかけてくれた。勿論スペイン語。
わかんねぇ!笑
けど一人だけ英語が少し話せる子がいて、どこ出身なの?と聞いてくれてることがわかった。
日本だよと答える。
これからどこに行くの?と聞かれる。
アスンシオンだよと答える。
私達もアスンシオンに行くから一緒だねと。
どうやら、アスンシオンにサッカーを見に行くらしい。
よく見るとパラグアイのそのチームのユニフォームを着てる子、中にはそのチームのロゴをタトゥーで入れてる子もいる。
どうやら熱狂的なファンらしい。
横断幕まで自作で作っている。
彼等はベネズエラの子達で大学の休みを利用して、ベネズエラからコロンビア、エクアドル、ペルー、ボリビア、アルゼンチンときてこれからパラグアイに皆でサッカーを応援しに行く途中らしい。
中々すごい旅だ。
そんな中、一人のカルラという女の子がまた話しかけてくれた。
彼女はスペイン語しか話せないのに、英語でこう話しかけてくれた。
ハングリー??
勿論お腹は空いていた。
バスで飯が出ないのに出ると騙されていた僕らはお菓子しか持っていなくて、それでサンタクルスからの時間お腹を紛らわせていたからだ。
彼等の旅を知ったアルゼンチンの検問所の人達が彼等に余ったご飯を分けてあげていたのだけれど、それをお腹が空いてるなら食べない??とカルラが聞いてくれたのだ。
しかも英語で。
わざわざ英語が出来る子に、お腹が空いたってなんて言うの?って教えてもらったのだろう、片言でハングリー?と聞いてくれたのだ。
僕らは、彼等のミサンガをぶっきらぼうにいらないと断っていた。
それなのに、それなのにその優しさが嬉しかった。
ありがたく頂いた。
ミカちゃんはその優しさが嬉しくて泣いていた。
泣かないでと言ってくれる。
けど、ミカちゃんのその泣く気持ちはわかる。
本当に嬉しかった。
食べ終わった後、カルラはスペイン語でジェスチャーを加えながら、お腹いっぱいになった?と聞いてくれた。
そして一人の男の子は僕等がいらないと断った手作りのミサンガをミカちゃんにプレゼントしてくれた。
もう一人の男の子はベネズエラのお金をプレゼントしてくれた。
ベネズエラは治安の悪い国で知られている。
外人と分かると今やすぐ銃で襲われる国。
ベネズエラ人がベネズエラには来るな!という程に。
自分の国に来るな!なんてホントは言いたくないだろうに。
けど僕等が旅に出て出会うベネズエラ人はホントに心の優しい人達ばかりだ。
こんなどうしようもない状態で、あまりにも心が荒んでいた所に、彼等の優しさは僕等の心を潤わすのに充分過ぎるほどだった。
その一つの優しさだけで、最悪なルートが最高のルートに変わったりする。
心が蘇る。
旅は結局の所、人との出逢いとよく言われていたりする。
僕は捻くれているからそんな事ないし!って思ってるし、自分から出逢いを求めたりしないけど、そういう自然に起こった出逢いに心から感謝する。
旅は出逢い。
まんざらでもないと思うようになった。
もう2度と会うことはないだろうけど、一生忘れることはない。
そんな出逢いも重ねられたらいいな。
と思う。
ありがとう。
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