2014/09/29

ファティマの髪を切る。〜地球散髪屋 in サハラ砂漠〜

砂だらけの世界でファティマの髪を切った。

無音の世界とまではいかなかったが、唯一するのは風が砂をさらっていく音だけ。

目にも見えない砂たちが、砂丘の表面を流れていく。
それを肌で感じることができる。

一年をかけて風さんにさらわれた砂は形を変えまた新たな砂丘となるらしい。
そうして砂漠は変化し、その範囲を拡大している。
もう丘ではない。壮大な砂の山脈だ。

なぜこんな量の砂が地球上に存在しているのか、それに想いを馳せると砂漠は地球の遥かなる無窮の旅へと僕をいざなってくれる。

その世界に僕は鋏の音を重ねる。

鋏の音すら風がさらっていく。

切る度また目に見えない砂が流れる音だけになる。

ここまで鋏が髪を切る音に耳を傾けたことがあるだろうか。

それがなんて心地いいんだろう。と初めて知る。

そんな心地よさもサラッとさらっていくこの世界がまた憎らしい。

ここにしかない世界。

ここでしか味わえないもの。

ありがとうサハラ。

そして、ありがとう。

ファティマ(ミカちゃん)。



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